しびれ外来

しびれとは

しびれはみなさんおなじみの症状ではないでしょうか。一番身近なのは正座した後とか、居眠りした後に腕が圧迫されてしびれた経験はあると思います。このビリビリ、ジンジンした感覚には、何もしなくても、ジンジンしている状態(ディセステジア)と、その部分を触るとジンジンが強くなる場合(パレステジア)があります。このようなしびれ感は、手足の神経の酸素不足で起こるだけでなく、局所的に神経の電気の興奮がうまく伝わらないときにも起こります。しびれの原因は、神経が異常興奮状態にあることによります。いずれにせよしびれには、必ずどこかに神経の病気が隠れています。しばらく様子を見て良いものか、すぐに治療が必要なものか判断する必要があります。

しびれのチェックポイントと代表的な病気

①しびれの始まりの部位
②しびれが一定の範囲にとどまるか、だんだん広がっていくか
③運動麻痺を伴うか
④仕事や姿勢との関係

手・腕に限局したしびれ

・頚椎椎間板ヘルニア
・胸郭出口症候群
・手根管症候群
・肘部管症候群
・橈骨神経麻痺
・腋窩神経麻痺

手と足のしびれ(昇ってくるしびれ)

・全身性ポリニューロパチー
・脊髄疾患
・頚椎症、後縦靱帯骨化症
・脊髄空洞症

足に限局したしびれ

・腰椎椎間板ヘルニア
・腓骨神経麻痺
・感覚異常性大腿神経痛
・中足骨痛
・足根管症候群

橘 滋国 シビレを感じたら読む本より改変

しびれの部位による病気の推定

1.正中神経麻痺

手根管症候群(しゅこんかん)

手根管は、手根骨と横手根靱帯からなるトンネル厚くなった横手根靱帯(屈筋支帯)が正中神経を圧迫するために起こります。
親指、人差し指、中指、薬指の親指側半分のしびれが特徴です。

・薬指は親指側だけしびれて、小指側はしびれません(リングフィンガースプリッティング
・しびれは夜中や明け方に強く、朝起きるとと手がしびれています。
・手を振るとしびれや痛みは楽になります(フリックサイン)。
・中年以降の女性、左右両側にみられることが多い。
・手首を伸ばしたり曲げたりという物理的な負担や振動工具の長時間の使用が原因。車や自転車の運転、炊事、裁縫で悪化します。


厚くなった横手根靱帯(屈筋支帯)が正中神経を圧迫する

ティネル徴候
障害された末梢神経をたたくと生じるビリビリしたしびれ末梢神経の回復範囲も推定可能

ファーレンテスト
体の前で両手の甲を1分間合わせて手根管が狭くなる状況を作るとしびれや痛みが誘発されます。

ティアドロップサイン(いびつなOKサイン)
進行すると親指の付け根にある筋肉である母指球筋の萎縮が起きて、OKサインがうまく出来なくなります。親指の対立運動ができなくなり、内転筋が代償することでOKサインが涙の様な形になってしまいます。

円回内筋症候群

円回内筋は、前腕を親指側に回転するように働きます。正中神経は、円回内筋の浅腹と深腹の間を貫くように走行するため、この部分で締め付けられて障害されます。親指、人差し指、中指、薬指の半分がしびれる、肘が伸ばしづらい、親指と人差し指の関節が曲がらないなど症状が出現します。


手根管症候群と違ってここもしびれる

前骨間神経麻痺

前骨間神経は、肘の付近で正中神経から枝分かれして主に親指と人差し指の第1関節を動かす筋肉を調整します。手根管症候群と違ってしびれや痛みがないのが特徴です。
OKサインをつくってもらうと、親指と人差し指の第1関節がが反り返る(過伸展)ティアドロップサインが陽性になります。

2.肘部管症候群(ちゅうぶかん)

尺側手根屈筋の尺骨頭と上腕骨頭をつなぐオズボーン靱帯が手根骨ととつくるトンネルで尺骨神経が圧迫されるとしびれや痛みを生じます。薬指の小指側と薬指に症状が出るのが特徴です。また、小指と薬指の関節が伸びずに鷲(わし)の手のように変形することがあります。

肘では、尺骨神経は浅い部位を走行しているので圧迫によって障害を受けます。

3.橈骨神経麻痺

親指と示指のしびれても手のひらがしびれていないのと、手首がだらっと下がって持ち上がらなくなるのが特徴です。ほとんどは橈骨神経の圧迫が原因です。


ハネムーン症候群
朝起きたら手首が垂れたままになって動かないことに気づきます。パートナーへの腕枕で橈骨神経が頭の重みで圧迫されて障害されます。自分で腕枕をしても起こります。

サタデーナイト症候群
酒に酔って椅子にもたれかかったり、車の中で腕の置き場が無いため狭いところに上腕を置いたために橈骨神経が圧迫されます。

4.腋窩神経麻痺

肩を打ったり、転倒した後に腕肩から腕があがらない、上腕も外側に感覚がないのが特徴です。

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