めまい外来

めまい外来のご紹介

めまいは、耳鼻科、脳神経外科、神経内科、内科などさまざまな診療科で扱われますが、めまいの診療で最も大切なのは、患者さんの訴えを丁寧に整理して分析することです。

めまいにも頭痛と同様、命に関わらない怖くないめまいと命に関わったり、重い後遺症が残る怖いめまいがあります。当院では、脳が原因となる命に関わる怖いめまいをはじめ、ぐるぐる回転するめまいの代表である良性発作性頭位変換めまいやふわふわしたり、ぐわんとまわるような自律神経障害によるめまいの治療を行っています。

急性めまいの治療をするためには、命に関わる怖いめまいを除外しなければなりません。脳幹梗塞や小脳梗塞、小脳出血、悪性脳腫瘍、聴神経腫瘍などを見分けるためにどうしてもMRI検査が必要になります。とても重要なことですが、初期の脳梗塞はCTでは見つからず、MRIではじめてわかります。当院には3テスラMRIを設置しているので、速やかにMRI検査をおこなって診断をつけて、適切な治療を開始できます。

耳鼻科が治療の中心になるめまいは、聴力の低下を伴う場合や耳鳴りを伴う場合ですが、聴神経腫瘍でも突発性難聴で発症したり、耳鳴りが主な症状でもあるので、一度はMRI検査による精査が必要になると考えて良いでしょう。

回転性めまいかそれ以外か

「めまい」では、本当に景色がぐるぐる回っているのか、それとも、ただフラフラしているのかを判別します。

回転性ではない場合には、立ちくらみかふらつきの場合がほとんどです。高齢者の場合には、これ以外に脳幹部の虚血を起こす椎骨脳底動脈循環不全を考えます。危険なめまいです。

若い方の場合には、起立性自律神経失調症が考えられます。体育館で校長先生のお話を聞いているときに気を失ってひっくり返るのがこの例です。自律神経の障害で血圧が下がると、景色は見えるのに脳の視覚領野の血液が足りなくなることで眼の前が暗くなってきます。これが進行すると、意識を作り出す脳幹網様体の血液不足から意識がなくなって失神します。めまいと失神は大分かけ離れた症状と思うかもしれませんが、怖いタイプのめまいの進行形と言えます。前庭神経は、平衡感覚をになっていますが、その中枢は脳幹の下方にある延髄の前庭神経核(CochNc赤色)です。

右側の斜線部が血液不足に陥った場合には、平衡感覚を司る前庭神経核が障害されてぐるぐる回るめまいが起こります。この場合には、1分以内にはおさまる耳石障害による良性発作性頭位変換めまい症と違って持続的です。また、すぐ近くにある三叉神経核(Ⅴオレンジ色)まで血液不足になると、口の周りがしびれる様になります。ぐるぐる回るめまいと口びるのしびれが同時に来たときには、脳幹梗塞の可能性が高いのですぐにMRI検査おこなって治療を開始する必要があります。

めまいの分類

体のバランスをとるしくみ

体のバランス、平衡感覚は、脳幹、内耳、前庭神経、小脳、眼、脳血液循環血(椎骨動脈、脳底動脈)のネットワークにより形成されます。平衡感覚の元になる情報は、内耳にある前庭嚢(卵形嚢、球形嚢)と半規管が受けます。

半器官は体の回転加速度を感知します。前庭嚢(耳石器)が頭部の位置と直進加速度を感知します。頭を動かすと、3つの三半規管内のリンパ液が動いて、これにより有毛細胞が神経のインパルスを生成して信号が脳に伝達されます。頭の極方向に対応した1つの半器官のリンパ液の動きが他の2つの半器官内での動きより大きくなるので、脳は頭の回転を認識します。

このように前庭と半器官の機能により、脳波頭の回転と体の直線運動、加速度を認識することができるよういなり、頭の位置と体の傾きが前庭神経を通じて小脳に送られ、小脳はこの情報に基づいて全身の筋肉に指令を出して、運動を微調整しながら体のバランスを保ちます。

良性発作性頭位変換めまい症(BPPV)

起床時に起き上がったり、寝返りをうったりしたときに景色がぐるぐる回るようなめまいが突然起こり、長い時間めまいがあるように感じますが、通常1分以内にはおさまっています。最もよく見られるめまいのタイプです。

前庭嚢(耳石器)にあるゼラチン状の平衡砂膜の上にある炭酸カルシウム結晶の耳石が、本来の位置から移動して、クプラや後半規管などへ迷入するとリンパ液の流れが障害されてぐるぐる回転するめまいが起こります。

治療は、迷入した耳石を元にもどします。はじめはめまいが起こってつらいのですが、3分ほど我慢すると改善してきます。何とかクリニックまでいらしていただければその後は楽になります。

(Youtube参照)後半規管型BPPVの治療エプリー法(右耳用)

(Youtube参照)回転性めまいのための内耳バランスを強化するエクササイズ

メニエール病

内耳を見なしている液体の内リンパが過剰に増えたために内耳がむくんだ状況です。回転性めまいのほかに、特に低い音が聞こえにくくなる難聴や耳鳴り、耳の閉塞感等を伴います。めまいの原因は、むくみであるため、少なくとも1時間以上持続します。BPPVのように数十秒でおさまることはありません。この病気には耳鼻咽喉科での専門的な治療が必要です。

めまいを起こす脳の病気

脳梗塞・脳出血

小脳や脳幹に障害が発生すると、回転性めまいが起こりやすくなります。ろれつがまわりにくい、手足が動かしづらいなど伴うことがあります。

椎骨脳底動脈循環不全

視界がぼやーっとする、気が遠くなる、左上肢のしびれを伴うことがあります。

脳腫瘍

フラフラするめまい、平衡障害が多く、突発性難聴や耳鳴り、頭痛などが起こってきます。

めまいを起こすその他の病気

起立性低血圧・自律神経障害、不整脈

脳に届く血液量が一時的に減少して、くらっとしたり、気が遠のいたりします。

低血糖症

血液中の糖が少なくなりすぎると、フラフラしたり、気が遠のいたりします。

心因性めまい

不安やストレスが続くとめまいが起こることがあります。

頚性めまい

ふわふわしためまいや立ちくらみも見られます。頚椎の変形や強くて長い経過の肩こりが原因になることがあります。

貧血症

甲状腺機能低下症

薬剤によるめまい

タイトルとURLをコピーしました
WEB予約はこちら